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「労働審判の申立書が届いたが、どうすればいいのか」とお悩みでしょうか?
労働審判は、労働紛争の迅速な解決を目指す手続きです。時間が限られているため、申立書を受け取ったらすぐに対応しなければなりません。
本記事では、
- 労働審判申立書が届いた場合の初動対応
- 弁護士への相談後の具体的な流れ
- 労働審判対応を弁護士に相談すべき理由
などについて解説しています。
労働審判の申立書が届いてお困りの企業の経営者や担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
労働審判の制度概要
まずは、労働審判の手続きやメリット・デメリットといった基礎知識を解説します。
労働審判とは?
労働審判とは、労使間で生じたトラブルを裁判所で迅速に解決するための専門的な手続きです。
迅速な解決を目指しており、原則として3回以内の期日で終了するものとされています(労働審判法15条2項)。労働審判には、裁判官のほかに、実務に精通した労働審判員が参加します。
労働審判は2006年に導入されました。制度の利用が広がり、近年は年間3000件以上利用されています。労使間のトラブルを迅速に解決する手続きとして、浸透しているといえるでしょう。
労働審判のメリット
労働審判のメリット・特徴としては以下の点が挙げられます。
迅速性
労働審判の大きなメリットは、迅速な解決が図られる点です。
原則として3回以内の期日で終了するとされており、期日を月1回とすれば3か月以内に終了する計算になります。実際に、平均審理期間は約80日となっています(参考:労働審判手続|裁判所)。年単位の時間を要するケースもある通常訴訟と比べると、終了までの期間が短いです。
専門性
労働審判は、労働紛争を解決するための専門的な手続きです。
審理には、裁判官1名のほかに、実務に詳しい労働審判員が2名(労使各1名)参加します。通常の訴訟では裁判官だけで審理が進むのと比べると、より専門的な手続きといえるでしょう。
柔軟性
柔軟な解決が可能な点もメリットです。
労働審判では、まず話し合いによる調停が図られ、難しい場合に審判がくだされます。審判では、白黒はっきりつけない内容も可能であり、訴訟に比べて柔軟な解決ができます。
労働審判のデメリット
他方で、労働審判には以下のデメリットがあります。
準備期間が少ない
迅速であることの裏返しとして、準備にかけられる時間が少ない点がデメリットとして挙げられます。
労働審判は短期間で結論を出すため、特に1回目の期日が重要です。詳しくは後述しますが、特に申し立てられた会社側は、準備に十分な時間を掛けられません。
事案によっては制度に馴染まない
労働審判には相応しくない事案もあります。証拠の量が膨大であったり、多数の関係者がいたりして、迅速な審理が難しいケースです。
労働審判に馴染まない事案については、解決せずに手続きが終了します(24条終了)。
納得しないと訴訟に移行する
労働審判の結論に納得がいかない当事者がいれば、異議申立てにより通常の訴訟に移行します。訴訟になれば、結局時間がかかってしまいます。
労働審判申立書が届いた場合の初動対応
ほとんどのケースで、労働審判を申立てるのは労働者側です。申立てられた会社側にとって、労働審判のスケジュールは厳しいです。申立書が届いたら、すぐに対応しなければなりません。
申立書の内容の確認
まずは、申立書の内容を確認します。
労働審判に至る前に何らかの形で紛争が表面化している場合が多いですが、突然申立書が届いて驚くケースもあるでしょう。申立書や証拠をよく見て、労働者の請求や主張を把握してください。
申立書だけでなく、同封された呼出状の内容も確認が必須です。
呼出状には、第1回の期日や、答弁書の提出期限が指定されています。期日には出席しなければなりません。日程の変更は難しいため、予定を空けておくようにしてください。答弁書は、期限に間に合うように作成・提出する必要があります。
相談・対応できる弁護士の確保
申立書が届いたら、すぐに弁護士を探して相談・依頼しましょう。
労働審判の第1回期日は、原則として申立てから40日以内に設定されます(労働審判規則13条)。答弁書の提出期限は第1回期日の約1週間前であるため、申立書を受け取ってから1ヶ月程度しか時間がありません。
労働審判は短期間で結論を出すため、最初に裁判所に与える印象が非常に重要です。いち早く弁護士に相談・依頼して、答弁書の作成や期日への準備を進める必要があります。弁護士の予定を確保するためにも、すぐに相談してください。
事案にもよりますが、相談の際には、たとえば以下の書類を持参するとスムーズです。
- 就業規則、賃金規定
- 申立てをした従業員の履歴書、雇用契約書など
- タイムカードなど、勤怠状況がわかる資料
- 給与明細書など、賃金の支払い状況がわかる資料
- 時系列をまとめたメモ
具体的な持参書類は、相談前に弁護士事務所に確認するとよいでしょう。
【参考】従業員から残業代請求をされた場合の対応方法を弁護士が解説
弁護士への相談後の具体的な流れ
弁護士に相談した後は、一般的に以下の流れで進みます。
答弁書の作成・提出
期限までに、答弁書の作成・提出をします。
答弁書には、紛争に関する会社の主張をまとめて記載します。労働審判は決着までの期間が短いため、答弁書が裁判所に与える第一印象が非常に重要です。証拠を集めて事実関係を確認したうえで、説得力のある答弁書を作成しなければなりません。
会社にとってスケジュールは厳しいですが、期限内に充実した内容の答弁書を提出し、会社側の主張を裁判所に伝える必要があります。
第1回労働審判期日
指定された第1回期日には、必ず出席してください。弁護士だけでなく、トラブルに関して事情をよく知っている会社担当者も出席する必要があります。
第1回期日では、申立書や答弁書の内容をもとに、まず裁判所から当事者双方に質問がなされます。その場での回答が求められるため、入念な事前準備は欠かせません。
事情聴取が終わると裁判所側が評議し、方向性を話し合います。その後、当事者が個別に呼ばれて意向が確かめられ、調停成立の可能性を探ります。双方の意向が合致すれば、調停成立です。調書が作成され、判決と同様の効力を有します。
第1回期日で調停が成立し、労働審判が終結するケースも少なくありません。
第2回以降の労働審判期日
第1回で合意できなければ、第2回、第3回と労働審判期日が開かれます。第2回以降の期日でも、調停を目指して話し合いがなされる点は同様です。
3回の期日を経ても調停が成立しなかったときには、基本的に裁判所により「労働審判」が告知されます。審判では裁判所が妥当だと考える結論が示され、判決と同様の効力を有します。
審判内容に納得がいかない場合には、異議申立てが可能です。2週間以内に異議申立てがあれば、審判は効力を失い、通常訴訟に移行します。
事案が複雑であるなど、労働審判での解決に適さないと判断されたケースでは、審判が出されずに終了し、通常訴訟になります(24条終了)。
労働審判対応を弁護士に相談すべき理由
労働審判の申立書が届いたときには、会社だけで対応せずに弁護士に相談するべきです。弁護士に相談・依頼すると以下のメリットがあります。
労働問題に関する知見・知識を活用した対応方法のアドバイス
弁護士に相談すれば、専門的な知識に基づいて対応方法のアドバイスを受けられます。
労働審判で争いになりやすい類型としては、解雇や残業代に関する紛争が挙げられます。
たとえば解雇であれば、企業側は「無能だ」「協調性に欠ける」といった理由で安易に解雇を実行してしまいがちです。実際には、わが国で解雇するハードルは高く、なかなか有効とは認められません。
法的な知識が乏しい状態で労働審判に臨んでしまうと、自社の主張に固執して必要な妥協をするのが難しいです。最終的には、訴訟に移行して判決で多額の支払いを命じられてしまいます。
他にも残業代トラブルにおいて「管理職に残業代は不要」「固定残業代を払っているから大丈夫」などと思い込んでいるケースがあります。法的な知識が不足していると、判断を誤ってしまうリスクが高いです。
弁護士の知見・知識によって、想定される法的な結論や妥当な落としどころがわかれば、大きく対応を間違えずに済みます。
スケジューリング・手続きの進め方の明示
弁護士に相談・依頼していれば、スケジュールに間に合うように対応でき、安心して手続きを進められます。
これまで触れてきた通り、労働審判はスケジュールが非常にタイトです。
申立書を受け取ってから1か月程度で、
- 証拠収集による事実確認
- 主張の整理
- 答弁書の作成・提出
- 想定問答の準備
などを進めなければなりません。
弁護士がいなければ、証拠収集ひとつとっても、「何を集めればいいのか」「いつまでに調査を終えるのか」といった悩みが生じるでしょう。
会社は労働審判期日にも慣れていないため、委縮して主張のすべてを伝えられなかったり、不用意な発言をして裁判所に悪い印象を与えたりするリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、期限から逆算して証拠収集や答弁書作成を進められ、期日に向けた準備ができます。期日当日も同行して、会社の主張を代弁してもらえるため安心です。
スケジュールを考慮して迅速に対応し、労働審判の手続きを滞りなく進めるうえで、弁護士の関与は欠かせません。
企業での影響を最小限に抑えた対応策の提示
弁護士に依頼すれば、企業の負担を最小限に抑えられます。
会社内部で対応しようとすると、担当者が多くの時間を割かれ、通常業務に支障が出てしまいます。ただでさえ人手が足りない中小企業では、なおさら深刻な問題でしょう。
弁護士に証拠収集や答弁書の作成などを任せれば、担当者にかかる負担が大幅に削減されます。
また、労働審判で必要以上に妥協したり、結論を見誤って訴訟で多額の支払いを命じられたりするリスクも下がり、金銭的な負担抑制も可能です。
加えて、労働審判が終わった後のアフターフォローもいたします。従業員とトラブルが発生するときには、就業規則や勤怠管理など、会社側も問題も抱えているケースが少なくありません。弁護士のアドバイスを受けて、問題点を解決するために社内体制を整備すれば、今後のトラブルリスクの低減につながります。
弁護士をつければ、様々な面で企業の負担を抑えられるのです。
【参考】契約書の作成やチェック業務
労務問題に関するご相談は弁護士法人山本総合法律事務所へ
ここまで、労働審判に関して、制度概要、申立書が届いたときの初動対応、その後の流れ、弁護士に相談・依頼するメリットなどを解説してきました。
労働審判への対応は、とにかくスピードが重要です。申立書が届いたらすぐに弁護士に相談してください。
迅速に証拠を集めて答弁書を作成し、会社の主張を的確に裁判所に伝えられれば、労働審判を有利に進められます。弁護士に任せれば、会社の手間を大きく減らしたうえで、金銭的にも妥当な解決を導くことが可能です。
群馬で労働審判の申立書が届いてお困りの企業の方は、弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。
当事務所は、これまで、群馬・高崎に密着して、地域の企業の皆様から労働審判に関する数多くの相談を受けて参りました。群馬県内でも規模が大きい弁護士事務所のひとつであり、マンパワーがあります。労働審判を申し立てられた際にも、答弁書の作成・提出をはじめとして迅速な対応が可能です。労働審判だけでなく、訴訟に移行した際の対応もお任せいただけます。
労働審判をはじめとする労務問題に関してお悩みの点がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
山本 哲也
弁護士法人 山本総合法律事務所の代表弁護士。群馬県高崎市出身。
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。