新着情報 NEWS & TOPICS
目次
団体交渉とは?企業経営者が知るべき基本情報
団体交渉の目的と労働組合法の概要
団体交渉とは、労働者が所属する労働組合が企業に対し労働者の地位向上や解雇無効等を求めて開始される労働組合と企業との交渉をいいます。
団体交渉の目的は労働者の雇用条件向上、労働条件の集団的決定、労使協定の締結による労使関係の安定にあるといわれますが、企業側にとっては、交渉に応じるための手間暇が発生してしまいます。
特に自社内に労働組合がない中小企業の場合、どの会社の従業員も所属できる合同労働組合からある日突然に団体交渉を申し入れられることが多いため、団体交渉を嫌う経営者も多いです。
しかし、団体交渉は労働組合法に基づき労働者や労働組合に認められた手続ですので、対応を誤ると不当労働行為に当たってしまいます。そのため、団体交渉を申し入れられた企業側には適切な対応が求められます。
団体交渉に対応する企業の義務とは?
企業には、交渉応諾義務と誠実交渉義務が課されます。これらにより、団体交渉を申し入れられた場合はこれに応じなければならず、かつ、誠実に交渉しなければなりません。
もっとも、合意する義務まではありませんから、交渉の結果、労働組合からの要求を拒否することは問題ありません。
加えて、禁止事項として、組合員であることを理由とする不利益取扱い、労働組合に対する支配介入、労働委員会への申立等を理由とする不利益取扱いが挙げられます。これらに該当する行為を行うと不当労働行為となりますので注意しましょう。
【参考】団体交渉は拒否できる?拒否できる理由と申入書が届いた際の対応方法
団体交渉でよくあるトラブルの例
まず、団体交渉を拒否したり、組合からの申入書を無視してしまうケースが見られますが、これは絶対にやってはいけません。
不当労働行為に該当することが明白ですから、トラブルを拡大させてしまいます。
交渉を一方的に打ち切ったり、合理的な理由なく組合からの要求を拒否することも誠実交渉義務に反するおそれがあります。
逆に、組合からの要求を吟味することなく全て合意してしまうこともNGです。組合からの要求が適切なのか、合理的な理由と根拠があるのかをきちんと検討する必要があります。
団体交渉における弁護士の役割とは?
法的助言と交渉方針の策定支援
まず、初動対応として、組合からの要求事項の確認と事実関係を精査し、法的助言と交渉方針の策定を支援します。
組合からの要求につき、合意できる部分と合意できない部分を区別することが初動対応の肝となります。
交渉代理人としての労働組合との対応
代理人として企業側の窓口となることで、企業の負担を軽減します。団体交渉当日はもちろん、日程調整等の事務連絡も弁護士が窓口となることで、企業側の負担を大きく軽減できます。
不当労働行為の回避策の提案
団体交渉において、企業側には義務と禁止事項が課され、これらに違反すると不当労働行為となり責任が発生してしまいます。
不当労働行為に当たらないよう、初動対応の時点で終結まで見据えて、不当労働行為とならないよう適切な対応方法を提案します。
【参考】団体交渉の進め方を弁護士が解説|労働組合からの申し入れから解決までの流れ
弁護士に団体交渉を依頼するメリット
法的リスクの最小化
団体交渉の対応を誤ると不当労働行為となってしまいます。弁護士に依頼し対応を支援してもらうことで、不当労働行為となってしまう法的リスクを最小化できます。
交渉の迅速化と労働組合との円滑なやり取り
団体交渉に慣れている弁護士であれば、方針の策定や日程調整等の事務連絡まで一連の流れを熟知していますから、交渉の迅速化と労働組合の円滑なやり取りを実現しやすくなります。
事案を適切かつ早期に解決できるでしょう。
専門知識を活用した的確な対応
団体交渉を申し入れられたからといって、組合からの要求を全て受け入れなければならないものではありません。
要求の理論と根拠を分析し、合意できない要求に対しては毅然と対応する必要があります。
弁護士に依頼すれば、不当労働行為を回避しつつ、拒否すべき要求は拒否することで、的確な対応が可能となるでしょう。
【参考】労働事件における非弁行為の基準とは?社労士が知っておきたい3号業務と弁護士業務の区別について
団体交渉対応の流れと弁護士の支援内容
申立書受領後の初期対応と確認事項
労働組合から送られてきた申立書を確認し、どの様な要求があるか、その要求の理論と根拠は何かを分析し、企業側への確認事項(事実関係の確認と証拠の収集)と初期対応を提案します。
初手を誤ると後の対応も誤ったものになりがちですので、初期対応が最も重要と言っても過言ではありません。
証拠収集と企業側の主張整理
事実関係と証拠を精査し、申立書に対する企業側の主張を整理していきます。これにより、合意できる(せざるを得ない)部分と合意できない(しなくてよい)部分を区別し、企業側の方針を策定します。
交渉期日での対応と合意締結の試み
団体交渉当日は、予め定めた方針に則りつつ、臨機応変に対応します。合意締結を目指しつつ、合意できないものについては毅然と対応します。
合意書の作成と実行のフォローアップ
合意に至ったら、それを合意書として書面化し、合意書の締結を行います。
書面として証拠に残すことで、後々の紛争を予防するためです。
【参考】団体交渉の進め方を弁護士が解説|労働組合からの申し入れから解決までの流れ
団体交渉対応で注意すべきポイント
誠実交渉義務を果たすための具体的な行動
企業側には誠実交渉義務が課されますから、形式的に交渉に出席するだけでは不当労働行為となりますので、労働組合からの要求を検討し、それに対して真摯に回答しなければなりません。
特に、要求を拒否する場合は、拒否する合理的な根拠を説明する必要があります。
感情的な対応を避け、冷静かつ法的に進める重要性
感情的になってしまうと、余計に紛争を拡大・長期化させてしまい企業側の利益を損ないます。
団体交渉の場でパワハラ等の問題を起こしてしまっては目も当てられません。
労働組合側が感情的になったとしても、同じ土俵には上がらず、冷静に、法令に則り対応する必要があります。
労働組合との信頼関係を損なわない対応策
団体交渉は裁判ではなく、あくまで交渉です。
交渉ですから、互いに尊重し合いながらウィンウィンを目指すのがベストです。
これまで述べてたとおり、きちんと事実関係の確認と証拠を収集し、それに基づき適切な方針を策定し、冷静に交渉に臨むことで、信頼関係を構築しやすくなるでしょう。
もっとも、労働組合からの要求が荒唐無稽なものであったり労働組合側の交渉態度が不適切である場合には信頼関係の構築は困難ですから、毅然とした対応が求められる場面もあります。場合によっては、交渉を打ち切り、企業側から労働者に対して義務不存在確認等を求めて労働審判や訴訟を起こすこともありえます。
団体交渉対応は弁護士法人山本総合法律事務所へ
団体交渉は、労働組合からの要求事項の分析、それに対する方針の策定、団体交渉当日の対応等、負担の大きい対応が続きます。
また、企業には多数の義務と禁止事項が課されますから、対応を誤ると不当労働行為となり責任や損害を拡大させてしまいます。
不当労働行為に当たらないよう適切に行動し、かつ、自社の利益を守り的確な交渉を行うためにも、団体交渉への対応は弁護士へ依頼するのが必須といっても過言ではありません。
お気軽に
ご相談ください
CONTACT
当事務所では経営者様に向けた法的サポートを行っております。
経営者様からのご相談につきましては、初回に限り無料で対応しておりますので、
企業経営でお困りの方は、まずはぜひ一度お気軽にご相談ください。
Comment
この記事を書いた人
山本 哲也
弁護士法人 山本総合法律事務所の代表弁護士。群馬県高崎市出身。
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。