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まだ支払いを受けていない取引先が倒産してしまった場合、回収をあきらめてしまう会社も少なくないと思います。
しかし、あきらめる必要はありません。
全額は難しくてもある程度の回収はできる場合が少なくありません。
そこで今回は、取引先が倒産した場合の債権回収のポイントについて解説していきます。
目次
債権回収に関する基礎知識
まず最初に、債権回収一般に関する基礎知識を解説します。
債権回収とは
債権回収とは、返済期限を過ぎても返済がない、商品を販売したが代金が支払われていないというような場合に、支払義務のある債務者から債権者に対して返済・支払いをしてもらうことです。
債権回収に当たっては、交渉等の任意の方法を採る場合や任意の支払いが得られず法的手段を採る場合があります。
これらについては後で解説します。
債権回収を行う際の対応策
一般的に債権回収を行う際の対応策としては、以下のものがあります。
交渉により任意の支払いを促す
訴訟等の法的措置は費用も時間もかかるため、まずは交渉により支払いを促す方法を採るのが一般的です。
具体的には、内容証明郵便を発送し、期限を区切って返済を行うことを求めます。
これに応じて取引先が支払いを行えば回収は完了します。
請求金額が高額な場合などは、取引先にまとまって支払うだけの資力がないこともあります。
このような場合には、可能であれば分割払いの合意をして和解書を作成し、これにしたがった方法で回収を図ることもあります。
【参考】内容証明郵便を弁護士に依頼する場合の費用とメリットとは?企業法務に精通した弁護士が解説
法的手段を採る
取引先が任意の支払いをしない場合には、法的手段を採ることとなります。
先ほども述べたように訴訟は費用も時間もかかるためできれば回避したい方法です。
法的手段のなかでも、裁判所書記官による処分を申立てる支払督促は簡便で費用も低額であることから、特に債権額が高額でない場合には有効な手段といえるでしょう(ただし、取引先が異議申立てをした場合には訴訟手続に移行することとなります)。
【参考】債権回収業務について
取引先が倒産してしまった場合の対応策
取引先が倒産手続に入った場合には、基本的に取引先に対する権利は倒産手続を通じて処理されることとなります。手続を無視して他の債権者に抜け駆けして回収しても、禁止されている偏頗弁済に該当するとされ、返金しなければならなくなります。
そのため、取引先が法的手続に入った場合には、法規制に従うべきこととなります。
対応策としては以下のものが挙げられます。
対応策①取引先からの債務と相殺する
取引先と自社がたがいに持っている債権を相殺する方法により、債権を回収することが可能です。
例えば、自社が倒産会社に対して200万円の債権を有しており、倒産会社が自社に対して150万円の債権を有している場合には、この債権同士を対等額の150万円で相殺すると、自社債権のうち150万円は回収できたのと同じ効果が発生します。
相殺は倒産手続が開始されても可能な場合が多いとされています。
対応策②担保権を実行する
会社更生手続以外の倒産手続においては、取引先に対する債権に抵当権や譲渡担保権、質権等の担保権が付着している場合、これを実行して債権の回収を図ることが可能です。
対応策③動産売買先取特権の活用
動産先取特権とは、動産を売却した会社が代金などを優先的に回収できる権利です。
倒産手続が行われても、この先取特権があれば優先的に取り扱われ、債権を回収することが可能です。
【参考】建設業における債権回収トラブルへの対処法|債権回収に詳しい弁護士が解説
債権回収を成功させるためのポイント
では、取引先が倒産した場合に債権回収を成功させるためのポイントにはどのようなものがあるでしょうか。
ポイント①情報を確認する
同業者や他の取引先から、倒産のうわさを聞いたときには、その情報の真偽を確認することが必要です。経営状況が悪化しただけで、まだ法的な倒産手続を開始していない可能性があるからです。
確認した結果倒産手続を開始していない場合には、任意の交渉や支払督促等による回収が可能であることから、情報の真偽を確認することは重要です。
また、倒産手続を採っていた場合に、どのような倒産手続を採っているかの確認も必要です。
自己破産や特別清算など会社が消滅する手続きなのか、民事再生や会社更生のような会社の再建を図る手続なのか、自己破産の場合に債権者に対する配当がなされる可能性があるのかなど確認しましょう。
その上で、先に述べたような相殺や先取特権など可能な対応を行い、さらに手続に参加して残額の返済や配当を受けられれば、ある程度の債権を回収することができます。
ポイント②弁護士にいち早く相談する
弁護士にいち早く相談することも有効です。
弁護士に、取引先との取引関係や連帯保証人の有無、どの倒産手続が採られたかなどの情報を提供すれば、弁護士が様々な事情を考慮して、債権回収に有効な方法を教えてくれます。
ポイント③連帯保証人に請求する
取引先に対する債権について連帯保証人がいる場合には、連帯保証人に請求しましょう。
連帯保証人は、債務者が金銭を返済しない場合に債務者に代わって借金を返済することを約束した人です。
一般の保証人が有している催告の抗弁権(先に主債務者に対して返済することを請求できる権利)や検索の抗弁権(債務者が弁済可能な資産などを有している場合に保証債務の履行を拒否できる権利)を連帯保証人は有していません。
そのため、債務者が倒産した場合には即請求が可能です。
債権回収に関するご相談は弁護士法人山本総合法律事務所へ
取引先が倒産してしまった場合には、債権回収の手続は限られてしまいます。
そのようななかで、迅速かつ合法的に債権を回収するためには、専門知識が必要であり、弁護士の助力を得ることが有効です。
当事務所は、債権回収を得意としており、取引先が倒産した場合の債権回収についても実績があります。
債権回収に関するご相談は、どうぞ当事務所にお任せください。
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この記事を書いた人
山本 哲也
弁護士法人 山本総合法律事務所の代表弁護士。群馬県高崎市出身。
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。