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ハラスメント調査報告書の書き方のポイントとは?人事担当者が知っておくべきポイント

セクハラ、パワハラ、マタハラなどのハラスメント問題が起こるリスクは、どの会社でも一定程度あるといえます。

そして、ハラスメント被害の申告があった場合、これを会社が放置してしまうと、加害者だけでなく、会社も、被害者から損害賠償を請求される、訴訟を起こされるなどのリスクが生じます。

ハラスメントの申告があった場合には、調査を行い、調査結果を根拠とした処分や対応、再発防止策の提言などを行う必要があります。

そこで今回は、会社の人事担当者に知ってほしい、ハラスメント調査や調査報告書の概要について解説をしていきます。

ハラスメントに関する問題が発生した際の対応の流れ

ハラスメント行為

セクハラやパワハラなどの申告があった場合、会社は、以下の流れで問題に対応することとなります。

加害者・被害者へのヒアリング・事実確認

まず、申告があった加害者と被害者にヒアリングを行って事実確認を行います。

当然のことながら加害者と被害者は別々にヒアリングを行います。

聞き方にも配慮が必要です。

加害者とされている人に対しては、ハラスメントをやったと決めつけるようなことはしないことが必要です。偏見を持たれていることが伝わると、対象者が頑なになり、話が進まないので、注意深く話を進めることが必要です。

また、被害者からヒアリングを行う際には、できるだけ詳しく、いつどのようなことがあったのかを聞いていくことが必要です。

被害者には、つらい体験を話してもらうことになるので、被害者のペースで話ができるようにすることも大切です。

【参考】セクハラが発生した際に企業がとるべき対応について|労務問題に精通した弁護士が解説

加害者・被害者への周囲へのヒアリング

多くの場合、加害者はハラスメントを否定します。

しかし、被害者からのヒアリングのみで、ハラスメントがあったと認定すると、事実誤認が生じるリスクがあります。

そこで、加害者・被害者の周囲へのヒアリングが必要となります。

人事担当者としては、加害者・被害者の同僚や上司、親しくしている社員などをピックアップしてヒアリングを行うこととなります。

その際も、ハラスメント行為があったことを前提にせず、あくまで中立に「何か相談されたことはないか」、「○○さんに関する噂を聞いたことはないか」などと、なるべく自発的にハラスメントに関連する話が出てくるよう問いかけをすることが必要です。

今後の対応方針に関する検討

加害者、被害者、周囲の人物へのヒアリングが終わったら、これらを元に、ハラスメント行為の有無、あったとしてどのようなハラスメントがあったのか、ハラスメントとはいえないまでも問題となる言動があったのかどうかなどの事実関係の認定をまず行います。

その上で、加害者に対する懲戒処分を行うのが適切か、配置転換を行うのが適切かなどの方針を検討します。

そして、調査結果を通知し、最後に調査報告書を作成します。

調査報告書の作成方法や内容等については、後程解説します。

社内への調査報告書の共有

調査報告書が作成されたら、社内で共有することとなりますが、これは全社員に共有することを意味するわけではありません。

全社員に共有することとなれば、名誉棄損の問題などを引き起こすため、取り扱いには十分な注意が必要です。

調査報告書の共有範囲は、経営陣、人事部、法務部、問題が発生した部署の責任者が一般的であり、それ以外の社員には調査内容が漏れないようにすることが必要です。

【参考】セクハラの事実認定の基準とは?企業側が知っておくべきポイントを弁護士が解説

ハラスメントにおける「調査報告書」とは

調査報告書

では、具体的に、「調査報告書」とはどのようなものかについて、以下で解説していきます。

調査報告書を作成する目的

調査報告書を作成する目的としては、①再犯防止策を実行すること、②諮問委員会等の外部に説明すること、③加害者に対する処分等を決めるたこと、④加害者から訴訟を提起するための証拠とすることが挙げられます。

調査報告書に記載すべき事項

調査報告書には、以下の内容を記載します。

調査の目的

ハラスメントの調査、有無の判定、再犯防止策の策定等が調査目的となります。

調査方法

加害者、被害者や周囲の人物へのヒアリング、証拠資料の収集・分析等、具体的な調査方法を記載します。

調査結果

ヒアリング内容、調査により判明した事実関係、ハラスメントがあった場合にはその態様などを記載します。

調査の結論

ハラスメントの有無に関する事実認定、調査委員会としての結論を記載します。

調査の提言

ハラスメントの再発防止策などを記載します。

調査担当者

調査を担当した者を明示するとともに、担当者がハラスメント関係者や会社の上層部等から干渉を受けずに独立して調査に当たったことを記載します。

【参考】社外にハラスメント相談窓口を設置するメリット|ハラスメントの相談は弁護士へ

「調査報告書」を作成する際に知っておくべきポイント

「調査報告書」を作成する際に知っておくべきポイント

調査報告書を作成するにあたっては、以下の点を事前に認識しておくことが必要です。

客観的かつ公正に記載する

調査報告書においては、事実関係を、客観的かつ公正な観点から記載することが重要です。

被害者あるいは加害者の主張に一方的に肩入れしていると思われるような調査報告書では、調査の結果・結論に対する信用性がなくなり、処分が適切に行われたことについて疑問が生じるからです。

そのため、加害者・被害者・周囲の人物からの聴取内容や、提出された証拠を客観的かつ中立公正に分析し、かつ、そのことがわかるように調査報告書を作成することが必要です。

再発防止策は具体的に記載する

2でも述べたとおり、調査報告書には再発防止策を記載することも必要となります。

再発防止策の記載が抽象的では、会社としてハラスメント問題に有効に対応することができません。

ですので、再発防止策は具体的に記載することが必要です。

例えば、加害者に対する再発防止研修の実施や、ハラスメント問題に関する会社の方針の周知・啓発、全社員を対象とした面談等を挙げることができます。

【参考】従業員からマタハラに関する相談を受けたら?企業が最低限対応すべき方法について

調査報告書の開示義務

調査報告書作成後、当事者から調査報告書を開示してほしいと要求されることがあります。

特に、ハラスメントの事実が認められないという調査結果になった場合には、これに納得しない被害者から、開示を求められることが少なくありません。

調査報告書は、原則として開示義務はありません。ですが、開示しないことによって、会社に対する疑念が生じ、後日訴訟などのトラブルが生じる可能性があるので、場合によっては開示した方が良いこともあります。

そのため、調査報告書は、このような場合に備えて、当事者が読んでも納得ができる内容を記載し、開示に耐えうるものにする必要があります。

ハラスメント対応に関するご相談は弁護士法人山本総合法律事務所へ

集合写真

ハラスメントの調査は、事実関係の調査、調査報告書の作成ともに大変な労力を必要とするものです。

また、聴取内容の食い違いや証拠の分析などは、一般の方がするにはかなり難しい場合も少なくありません。

弁護士は、訴訟等の法的手続を日常的に行うため、関係者からの事情聴取や証拠の分析に慣れています。

そのため、ハラスメント調査報告もスムーズに行うことができます。

当事務所は、ハラスメント調査に対応できるだけでなく、調査結果に基づき、必要な対策の提言まで行うことが可能です。

ハラスメントの調査報告を外部に委託したいとお考えの経営者の方は、是非一度当事務所にご相談ください。

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この記事を書いた人

山本 哲也

山本 哲也

弁護士法人 山本総合法律事務所の代表弁護士。群馬県高崎市出身。
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。

山本 哲也

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