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「問題社員を解雇するには?」円満な解雇を実現するための対応策と過去事例のご紹介

問題社員に関する基礎知識

基礎知識

問題社員とは

問題社員とは、労働能力に問題がある、懲戒事由に該当するような非行がある、健康状態に問題があり業務に支障をきたしているなど雇用を継続するにあたり会社に不都合が生じている社員の総称です。

本稿では、このような問題社員を解雇する場合の問題について解説をしていきます。

問題社員の解雇を検討する場合のリスク

問題社員の解雇を検討する場合、その社員から不当解雇として、後日地位確認及び未払賃金請求の訴訟を起こされるリスクがあります。

仮に会社側が敗訴すると、解雇が無効となって、その問題社員の社員としての身分が回復するばかりでなく、解雇したものと扱って給与を支払っていなかった期間の給与を未払い分として支払わざるを得なくなります。

場合によっては、不当解雇による精神的苦痛を理由とする慰謝料が認められる場合もあります。

会社は大きな経済的損失を被る危険性があるのです。

そのため、問題社員の解雇は、慎重に検討することが要求されます。

【参考】問題社員は解雇できる?企業経営者が知っておくべき解雇に関する基礎知識

解雇を検討する前に確認すべきこと

チェック

現状把握と解雇以外の方法の検討

問題社員の解雇を検討する前にまずしなければならないことは、現状の把握です。

具体的には、問題社員がどのようなタイプで、その社員のために会社にどのような影響が生じているのかを把握しなけれななりません。その上で、解雇以外に採るべき方法があれば、まずはそちらから始める必要があります。

例えば、労働能力に問題がある社員の場合、まず、業務に必要な能力を身に着けるための指導や研修を行う必要があります。改善がない場合には、その業務が本人に向いていない可能性があるので、配置換えを検討すべきでしょう。

また、懲戒事由に該当するような非行がある社員の場合、その非行が軽微なものなのか、犯罪行為にもあたり得る重大なものなのかを検討する必要があります。非行が軽微な場合には、いきなり解雇するのではなくより軽い懲戒処分をすることから始める必要があります。

そして、以上のような対応をしたことにより問題が解決すれば、解雇の必要はありません。逆に以上のような対応をしても改善が見られない場合に、解雇が選択肢に入ります。

解雇そのものが制限される場合

解雇が相当といえるような事情がある場合でも、法律上、解雇が制限される場合があるので、注意が必要です。すなわち、①労災休業期間とその後30日間、②産前産後休業期間とその後30日間は解雇が制限されます。

問題社員の解雇を検討する際に、上記の期間内どうかを確認しましょう。

解雇方法の選択

問題社員に対して解雇が相当となった場合でも、どのような解雇をするかについては、慎重に検討しなければなりません。

普通解雇か懲戒解雇か

普通解雇とは、特に重大な就業規則違反がない場合などの通常時に行う原則的な解雇方法です。客観的合理的な理由と社会的相当性があることが要件とされています。

一方、懲戒解雇とは、従業員が就業規則に反して重大な問題行動をした場合に行う、懲罰的な解雇方法です。

普通解雇の場合は解雇予告手続が必要とされ、一般的に退職金が支払われます。

しかし、懲戒解雇の場合は、一定の条件に該当し(事業場内における刑事犯に該当する行為があった場合、経歴詐称等)、事前に労働基準監督署から解雇予告除外認定許可を受けていれば、解雇予告手続が不要とされます。

また、懲戒解雇の場合は、一般的に退職金規程において、退職金の不支給又は減額が定められています。失業給付の受給も普通解雇に比べて遅くなります。

このように懲戒解雇は社員に与える不利益が大きいため、普通解雇の場合よりもさらに処分の正当性が厳しく判断されます。

解雇が相当と考えられる場合でも、よほどの事情がない限りは、普通解雇を選択した方が、会社にとってリスクが少ないと言えるでしょう。

予告解雇か即日解雇か

会社が社員を解雇するには、基本的に30日前の解雇予告をする必要があります。突然解雇を告げられると、転職活動の準備期間がないなど大きな不利益を社員に与えることになるためです。

このように解雇予告期間を設けて行う解雇を予告解雇と言います。

一方、会社は、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払ってその日のうちに解雇することも可能です。これを即日解雇と言います。

即日解雇には、突然解雇を宣告された社員との間でトラブルが生じやすい、引継ぎがしにくいなどのデメリットもあります。

また、一般的に予告解雇された社員の多くは、有給休暇を消化して、出勤日数を減らします。ですので、普通解雇と即日解雇の間で、実質的な効果に大きな違いはないともいえます。

そうであれば、会社としては、よほどの事情がない限りは、デメリットが少ない普通解雇を選択する方が穏当でしょう。

【参考】問題社員への対応方法とトラブルの予防策について弁護士が解説

問題社員の解雇を検討する前に弁護士に相談すべき理由

弁護士に相談すべき理由

社内で問題社員の解雇を検討する事態が生じた場合には、以下の理由により、弁護士に相談すべきです。

対応方針に関するご提案

問題社員に関する相談を受けると、弁護士としては、問題の内容や軽重を見極め、当該時点において、解雇してよいか、解雇の前に、会社として、指導・研修や軽い懲戒処分など、先だってすべきことはないかを検討・提案してもらうことができます。

会社だけの判断では、「問題社員に早くいなくなってほしい」という焦りから、本来すべき対応をせずに、いきなり解雇を選択し、トラブルに発展することもあり得ます。

一歩引いた目線から、会社にとって不利益がないように対応方針を検討し、提案することが弁護士には可能です。そのため、この観点から、弁護士に依頼する必要性が高いと言えます。

社員対応

また、弁護士に依頼すれば、社員対応もしてもらうことが可能です。例えば、とある社員について度重なるセクハラがあり解雇を検討しているようなケースでは、被害者や当該問題社員、第三者たる社員などからの事情聴取を弁護士に任せることができます。

会社の上司などからの事情聴取では、社員は感情的になり、冷静に話ができない可能性が否定できないものの、専門家たる弁護士が事情聴取するとなれば、それなりの緊張感をもって冷静に話をしてもらう可能性が高まります。

また、弁護士であれば、専門家として法的な観点から、聴取事項を整理して聴き取ることができるため、その後の処分の判断もスムーズにすることができます。

労務問題に発展させないための解雇の対応策

先にも述べたとおり、解雇は、会社と解雇された社員との間でトラブルになりやすく、訴訟に発展するケースも少なくありません。

そうならないようにするために、弁護士は、社員等からの事情聴取の内容を踏まえ解雇が相当となった場合でも、よりトラブルが起きにくいであろう方法を選択することができます。

例えば、スムーズに解雇を受け入れてもらえるように、問題社員からの要望(解雇予告の上乗せ等)をくみ取った条件提示をするなどの工夫をすることも可能です。

この点でも、解雇における弁護士の役割は大きいと言えます。

【参考】【類型別】問題社員への対応方法と注意点について

問題社員対応については弁護士にご相談ください

弁護士写真

以上より、問題社員といえども、解雇は容易ではなく、解雇することによって、または解雇方法によって、会社に不利益が生じる恐れがあることをお分かりいただけたと思います。

また、このように難しい問題社員の解雇に当たっては、弁護士が大きな力を発揮できることもお分かりいただけたでしょう。

問題社員対応については、是非弁護士にご相談ください。

当事務所は、問題社員対策を含め労務問題に詳しい弁護士が揃っております。

問題社員に悩んでいる会社経営者の方は、是非一度当事務所にご相談いただけますと幸いです。

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この記事を書いた人

山本 哲也

山本 哲也

弁護士法人 山本総合法律事務所の代表弁護士。群馬県高崎市出身。
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。

山本 哲也

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