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クレーム対応研修の必要性とは?クレーム対応研修の種類と社内で実施すべき理由

「クレーム対応研修なんて、やる必要性はあるの?」

「クレーム対応研修をやるとすれば、どんな内容にすればいい?」

こんな悩みを抱えていませんか?

近年では、消費者の権利意識の高まりや通信手段の多様化を背景として、理不尽で悪質なクレームが急増しています。

クレーム問題を放置すれば、従業員が疲弊して生産性が低下したり、企業イメージがダウンしたりするなど、重大なリスクが生じてしまいます。

企業活動を円滑に進めるためには、社内での研修によってクレームへの対応力を高めることが欠かせません。

そこで本記事では、

  • クレーム問題を放置することのリスク
  • 社内にてクレーム対応研修を行う重要性
  • クレーム対応研修の種類とは?一例を踏まえて解説

などについて解説します。

消費者からのクレーム対応にお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。

クレーム問題を放置することのリスク

クレーム問題を放置することのリスク

クレームへの対応を従業員任せにして放置すると、以下のリスクが生じます。

従業員の疲弊

顧客や取引先からの連絡に直接対応する従業員は日々、さまざまなクレームにさらされています。

クレームは企業に対して不満をぶつける行為ですので、口調は厳しいものになりがちです。暴言や脅迫的な言葉が用いられることも多いですし、従業員の人格を攻撃するような言葉が投げかけられることもあります。このようなクレームに対応していると、従業員は精神的なダメージを蓄積させてしまいます。

また、クレームに対応している間は、他の業務を処理することもできません。クレームの件数が多かったり、長時間のクレームを受けたりすると、従業員は通常業務の対応にも追われてしまうでしょう。

このような、クレームによる精神的・時間的な負担により従業員が疲弊してしまうケースは多いです。

クレーム対応に追われる従業員のモチベーションは、低下してしまいます。嫌気がさした従業員が離職したり、ストレスをためた従業員がうつ病などを発症して休職することも珍しくありません。

その結果、企業の生産性が低下し、経営状況が悪化するおそれもあります。

【参考】消費者トラブル・クレーマー

労働問題等への発展

クレーム問題が、企業と従業員との間の労働問題等へ発展する可能性があることにも注意が必要です。

企業は、従業員が安全を確保しつつ就業できるように必要な配慮をしなければならないという「安全配慮義務」を負っています。企業がクレームを適切に処理するための対策を講じない状態で、従業員がクレームによって通常業務に支障をきたすほどの精神的苦痛を受けた場合は、安全配慮義務違反となります。

その場合、企業が従業員から慰謝料などの損害賠償請求を受けることにもなりかねません。慰謝料請求が認められる場合の相場は数万円~数十万円程度ですが、従業員がうつ病などの精神疾患を発症して働けなくなった場合などでは、慰謝料が高額化することもあります。

企業イメージの低下

インターネットが発達した現在の社会状況においては、クレームに適切に対処しなければ企業イメージの低下を招くおそれが強いです。

たとえ企業に非がない理不尽なクレームであっても、SNSなどに投稿されて瞬く間に拡散され、社会の注目を集めてしまうケースが珍しくありません。

正当な苦情に企業が対処しなかった場合には、不満を持った消費者がSNSなどで事の顛末を赤裸々に、あるいは怒りの感情にまかせて誇張した表現で公表することもあります。

どちらにしても、ネットの利用者は炎上した企業に対して、反射的に悪い印象を持ってしまうでしょう。このようにして企業イメージが低下してしまうと、売り上げの減少などの悪影響が生じる可能性が高いです。

社内にてクレーム対応研修を行う重要性

社内にてクレーム対応研修を行う重要性

クレームを放置せず、適切に対応できるようになるための対策として、クレーム対応研修を行うことが挙げられます。

社内にてクレーム対応研修を行うことは、次の5つの観点から非常に重要です。

クレーム問題の影響を削減

クレームを放置することによる諸問題は、ほとんどの場合、従業員がクレームに対する適切な対応方法を知らないことが原因で起こっています。しかし、研修によって従業員がやるべき手順を理解し、クレームへの対応スキルが高まれば、クレーム問題の影響を削減することができます。

例えば、クレーム客に対して従業員が初期対応を的確に行い、担当者へ速やかにつなぐことができるようになれば、必要以上に疲弊することはなくなるでしょう。従業員に過度な精神的苦痛がかからなくなれば、企業に対して損害賠償を請求する可能性も低くなります。

消費者に対しても、クレームを無視せず受け止めて適切に対処することで納得してもらえる可能性が高まります。そのため、企業イメージの低下による業績悪化のおそれも小さくなるでしょう。

従業員の対応工数の軽減

クレームに対して誰がどのような対応をするのかを明確化し、研修で周知することにより、従業員の対応工数を軽減させることができます。

クレーム対応の工程を事前に複数の従業員に割り振っておかなければ、受付担当の従業員が最初から最後まで対応しなければならないこともあるでしょう。

しかし、例えば、次のように工程を定めておけば、1人1人の従業員の対応工数は軽減されます。

  • 受付担当は、何についてのクレームなのかを聴き取り、担当課の担当者につなぐ。
  • 担当課の担当者は、詳しい事情を聴き取る。自分で解決できない場合は相談担当者につなぐ
  • 相談担当者は、詳しい事情を踏まえて解決案を提示したり、交渉したりする

このように、クレームには組織として対応していくことも重要です。

自社の課題や改善点の把握

企業へのクレームは、経営者とも従業員とも異なる第三者の視点から述べられた本音です。そこには、自社の人員では気づくことが難しい課題や改善点が含まれていることが多いはずです。

実際に発生したクレームの内容を分析した上で、「どのようにしていればクレームを防止できたか」という観点からの研修を行うことで、従業員に問題を根本的に解決するための考え方を身につけてもらうことができます。

クレームをきっかけとして自社の課題や改善点に取り組んでいくことで、クレームを受けにくい企業の体質を作っていくことも可能となるでしょう。

社内での対応方針の統一

クレーム対応研修を実施することで、社内でのクレームへの対応方針を統一することもできます。

各従業員にクレーム対応を任せていては、担当者によって対応方法がまちまちとなることが多いものです。対応方針が社内で一貫していなければ、そのことに対して消費者が新たな不満を持ち、さらなるクレームを述べてくる可能性が高まります。

研修によって社内での対応方針を統一しておけば、従業員も自信を持ってクレームに対応できるようになるはずです。

首尾一貫した対応をとることで、正当な苦情を述べてきた顧客や取引先にも納得してもらいやすくなるでしょう。悪質なクレームを述べてきた顧客は、理不尽な要求を貫きにくくなるため、自らクレームを止めることも期待できます。

顧客満足度の向上

研修によって従業員全体のクレーム対応スキルが向上すれば、顧客満足度の向上にもつながります。

クレーム対応スキルとは、単にクレームを交わすための小手先のテクニックではありません。顧客の要望を的確に把握し、不満に対しては真摯な態度で対応して納得を得ることが、クレーム対応の本質です。

一度はクレームを述べてきた顧客であっても、適切な対応によって最終的には満足してもらえることもあります。このような真摯な対応を積み重ねていくことで、企業イメージの向上も期待できるでしょう。

【参考】消費者からのクレームへの対処法を弁護士が解説

クレーム対応研修の種類とは?一例を踏まえて解説

クレーム対応研修

クレーム対応研修には、誰が講師を務めるのかにより、次の種類のものがあります。

  • 社内の担当者による研修
  • 社外の専門業者による研修
  • 弁護士による研修

それぞれ特徴が異なりますので、順にみていきましょう。

社内の担当者による研修

クレーム対応に詳しい人員が社内にいる場合は、社内のマンパワーのみで研修を実施するのもよいでしょう。

社内の担当者による研修ではコストがかかりませんし、リラックスした雰囲気で学べるというメリットも得られます。

研修の内容としては、以下のものがあります。一度の研修ですべてを盛り込むのも良いですが、自社の実情に応じて内容をアレンジしつつ研修を重ねて、ブラッシュアップさせていくのがおすすめです。

クレーム対応に関する基礎知識の習得

まずは、クレームとは何か、理不尽なクレームと正当な苦情の違い、適切な対応の重要性、顧客心理のメカニズムなど、クレーム対応に必要な基礎知識を従業員全員が習得していきます。

対応マニュアルの作成・周知

従業員のクレーム対応工数を軽減し、社内での対応方針を統一するためには、クレーム対応マニュアルを作成し、その内容を全従業員に周知することが欠かせません。経営陣で事前にマニュアルを作成し、それをテキストとした研修を実施するとよいでしょう。

従業員の階層別の研修

従業員の階層ごとに、習得すべき知識やスキルは異なります。効率よく習得してもらうためには、新入社員・若手社員、その上司(中間管理職など)、責任者として顧客に対応する相談担当者などの階層に分けて、研修を実施するのも有効です。

実例を題材としたケーススタディ

自社で実際に発生したクレームの実例を題材として対処法を学ぶことは、非常に有効です。実例を題材とすることで、自社において発生しやすい状況におけるクレーム対応の流れや注意点を学ぶことができます。また、実例を分析することで、自社の課題や改善点も浮き彫りになってくるでしょう。

ロールプレイングでスキルを磨く

知識を習得するだけでは、実際にクレームに遭遇したとき、適切に対応できるとは限りません。そこで、例題を掲げてクレーム対応の練習をする「ロールプレイング」を行うことも重要です。

日々の業務において発生したクレームの事例を蓄積し、ケーススタディやロールプレイングの題材をブラッシュアップさせていけばで、研修の効果も上がっていくでしょう。

社外の専門業者による研修

社内にクレーム対応に関する専門的な知識やノウハウを有する人員がいない場合は、社外の専門業者による研修サービスを利用するのもひとつの手段です。

専門業者の多くは豊富な研修プランを用意していますので、業者に希望を伝えれば、社内の状況に最適な内容の研修を実施できるでしょう。

費用はかかりますが、プロの講師が担当してくれますので、新入社員や若手社員にも分かりやすい研修が期待できます。

弁護士による研修

クレーム対応の法的リスクを回避する観点からは、弁護士に研修の講師を担当してもらうのが最もおすすめです。

弁護士は法的問題にしか対応できないと思われるかもしれませんが、企業法務の経験が豊富な弁護士は、数多くの企業からのクレーム対応に関する相談に対応してきています。そのため、クレームのパターンから適切な対応方法、トラブルに発展した場合の解決方法に至るまで、クレーム対応に関する知識とノウハウを豊富に有しています。

顧問弁護士にクレーム対応研修を担当してもらうことができれば、会社や業界の実情を踏まえて、充実した研修が期待できるでしょう。

【参考】弁護士にクレーム対応を相談するメリットとは?具体的な対処方法と弁護士関与のメリットを解説

企業側のクレーム対応は弁護士法人山本総合法律事務所にご相談ください

集合写真

クレーム対応は直接的に利益をもたらす業務ではありませんが、放置すると疲弊した従業員の離職や損害賠償問題、さらには企業イメージの低下による業績の悪化など、重大な弊害をもたらします。

しかし、クレーム対応研修を活用し、会社全体で対応スキルを向上させることができれば、このようなリスクを回避できます。のみならず、クレームへ適切に対応することで顧客満足度を向上させることにつながり、業績アップも期待できるでしょう。

自社のマンパワーのみでの研修実施が難しければ、企業法務の経験が豊富な弁護士に任せるのがおすすめです。顧問弁護士の契約をしておけば、万が一、トラブルが発生した場合にもスピーディーに解決を図ってもらえます。

当事務所は、群馬県に密着して、地元の企業の皆様からクレーム対応をはじめとするさまざまなご相談をいただき、サポートして参りました。社内でクレーム対応研修をお考えの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。

 

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この記事を書いた人

山本 哲也

山本 哲也

弁護士法人 山本総合法律事務所の代表弁護士。群馬県高崎市出身。
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。

山本 哲也

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