- 契約書作成
- 契約書チェック
- 雛形を利用するリスク
- 契約書作成の流れ
目次
解雇
- 問題社員を解雇したい
- 解雇の正しい手順を知りたい
- 整理解雇(リストラ)できる要件とは?
- 懲戒解雇の手順や注意点は?退職金は支給しなくて良いのか?
- 解雇したら、従業員から「不当解雇」として訴えられた
企業が従業員を解雇するときには、法律トラブルが起こりやすいので要注意です。
そもそも使用者は従業員を自由に解雇できるわけではありません。
通常時の普通解雇では、以下の要件を満たす必要があります(労働契約法16条)。
- 解雇の客観的合理的理由
- 解雇の社会的相当性
上記の要件は非常に厳しく判断されるので、容易には解雇が認められません。
たとえば「他の社員より成績が悪い」「遅刻や早退が多い」「多少反抗的な態度をとることがある」といった程度では解雇できない可能性が高くなります。
一方で以下のようなケースであれば、解雇が認められやすいでしょう。
- 入社時に重大な経歴詐称があった
- 無断欠勤が2週間以上継続している
- 何度注意しても通用せず他の従業員にも悪影響を及ぼしており、異動や降格などの他の手段を尽くしたが状況が改善する見込みがない
また解雇には「整理解雇(いわゆるリストラによる解雇)」や「懲戒解雇」もあり、それぞれ要件を検討しなければなりません。懲戒解雇の場合であっても必ずしも退職金を不支給にできるとは限りませんし、基本的には解雇予告や解雇予告手当が必要となります。
不用意な解雇通知によって従業員とのトラブルを招いてしまわないように、事前に弁護士までご相談ください。
残業代請求対応·未払い賃金対応
企業が従業員に賃金を適切に払っていないと、未払い分を請求されるリスクが高くなるので要注意。特に多いのが「未払い残業代」トラブルです。日頃から適切に労働時間を管理して正しく残業代を計算·支給していなければ、いずれ従業員からまとめて未払い残業代を請求されてしまうでしょう。
近年では労働基準法が改正され、未払い賃金や未払い残業代の「時効」が従来より延長されたので、今後はさらに多くの未払い残業代請求が起こる可能性もあります。
また未払い残業代を請求されると、「元本」だけを払って解決できるとは限りません。
退職前の従業員の場合には年3%の遅延損害金が加算されますし、退職後の遅延損害金の割合は年14.6%にもなります(民法改正前の場合、在職中の遅延損害金割合は6%)。
また訴訟で未払い残業代の支払い命令が出る場合、元本と同額の「付加金」の支払いを命じられる可能性があります。つまり未払い額の2倍の金額を払わねばなりません。そこに遅延損害金も加算されるので、残業代を未払いのまま放置していると、大変な経済的リスクが発生するといえるでしょう。
従業員からの残業代請求に関する対応方法は、こちらのコラムでも解説をしておりますので、ぜひご覧ください。
問題社員対応~解雇·雇止め~
問題社員を抱えている場合、「できれば解雇したい」と考える経営者が多いでしょう。
有期契約社員であれば、次期の契約更新をせず「雇止め」によって退職してもらいます。
ただし相手が問題社員であっても簡単に解雇や雇止めが認められるわけではありません。
そもそも労働契約法により、普通解雇するには「解雇の客観的合理的理由」と「解雇の社会的相当性」が要求されます。多少上司に反抗的である、成績が悪いといった程度では普通解雇は難しいと考えましょう。雇い止めも同じく厳しく判断され、使用者の自由には認められません。
懲戒解雇の場合でも「懲戒権の濫用」と」と評価されないよう、適正な判断が要求されます。従業員の起こした問題に対して重すぎる懲戒処分をすると、無効となる可能性が高まるので注意が必要です。
また解雇には「適正な手順」があるので、解雇回避努力を行わずいきなり解雇すると「不当解雇」と認定されるリスクが高くなるでしょう。
問題社員に対応するには、以下のようなステップを踏んでください。
- 本人に厳重注意、教育研修等を実施
- 異動や降格などの対応を検討
- 退職勧奨する
- 解雇予告する
- 解雇通知を送る
また懲戒解雇において解雇予告手当を払いたくない場合、事前に労働基準監督署で除外認定を受けなければなりません。
適正な方法で問題社員を解雇するには正しい法律知識が必須です。まずは弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
問題社員対応に関する詳細については、下記コラムからもご確認いただけます。
メンタルヘルス、ハラスメント対策
現代の日本企業には、法律によって「従業員のメンタル管理」を要求されます。
具体的には年1回、定期的に従業員にストレスチェックを行い、必要に応じて医師との面談などをセッティングしなければなりません。
ストレスチェックを怠って従業員が重度のうつ病などになった場合、責任を問われる可能性もあります。
また企業内の「ハラスメント対策」も重要です。現代ではパワハラ、セクハラをはじめとして、マタハラやマリハラなど、さまざまなハラスメント問題が発生しています。
最近では「パワハラ防止法」が制定されたこともあり、パワーハラスメントに対する対策が強く求められています。もちろん従来通り、セクハラへの取り組みも必要です。
こうしたハラスメント問題に対して企業がなすべき対応をまとめると、以下の通りとなります。
- 経営者がパワハラやセクハラを許さない態度を自ら表明
- 従業員への教育、研修
- ハラスメント被害を相談できる窓口を作る
- 相談があれば実態調査など、適切に対応する
- 結果に応じた措置
- 再発防止策の策定
- 当事者や関係者のプライバシーへの配慮
法律の求める要求に適切に対応するには、社内規定や就業規則を整備したりハラスメント対策マニュアルを作成したりしなければなりません。また適切な方法で従業員への教育研修も実施する必要があります。
当事務所では各種規定の作成や就業規則の改正、弁護士によるセミナー講師などの業務もお受けしていますので、お気軽にご相談ください。
労働審判
従業員とトラブルになると、裁判所で「労働審判」と起こされる可能性があります。
労働審判は、従業員と会社との間の労働トラブルを解決するための専門的な手続き。不当解雇や残業代、労災、ハラスメントの放置など、企業に不適切な行動があると労働審判を申し立てられる可能性が高くなると考えましょう。
また企業が正しく対処していても、労働者の間違った判断で労働審判を申し立てられるケースがあります。
労働審判では、当初の3回は調停が開催されて話し合いが行われますが、調停が決裂すると「審判」となって裁判所が結論を下します。
このように当初は話し合いから始まるので、油断して適切な主張や証拠提出を怠る企業があります。しかしそういった対応をすると後の審判で極めて不利になってしまうリスクが高まるので注意しましょう。
調停の段階から法的に適切な主張を行い、しっかり資料を準備すべきです。
労働審判を申し立てられたら、すぐにでも弁護士までご相談ください。
団体交渉·労働組合対策
労働者には労働組合を結成して企業側と団体交渉する権利が認められます。
自社内に労働組合がある企業はもちろん、社内の労働組合がない企業であっても団体交渉は他人事ではありません。今は日本中に多くの「ユニオン(合同労組)」という労働組合があるためです。
ユニオンとは、会社の垣根を超えて労働者が団結し、結成する労働組合。同業種や同じ地域の労働者が参加するもの、また最近では全国からどのような労働者でも参加できる合同労組があります。
ある日突然、知らないユニオンから団体交渉の申し入れが届いて困惑してしまう経営者の方が少なくありません。
団体交渉で不用意な対応をすると、不利な労働共役を結ばされて後に大きな不利益を受けるリスクも高まります。労働組合へ適切に対応するには、法律家による支援が不可欠といえるでしょう。
当事務所では労働組合対策のノウハウも蓄積していますので、ユニオンやその他の労働組合から団体交渉の申し入れを受けた方、日頃の労働組合対策を検討したい方はお早めにご相談ください。
労働訴訟
従業員とのトラブルが大きくなると、最終的に労働訴訟を起こされる可能性があります。
多くの場合には労働局のあっせんや労働審判の手続きを先行させますが、そういった手続きでも解決できない場合には訴訟を利用するしかありません。
訴訟になれば裁判所が最終判断を下すので、結論に異議があってもさらに争うのは困難です。また判決が出ると遅延損害金や未払い残業代の付加金が加算されて企業側の支払い額が大きくなる可能性があるので、金銭請求されたら特に注意しなければなりません。
訴訟を有利に運ぶには、法的に正しい主張を行い時機に応じた適切な証拠を提出する必要があります。労働者側も弁護士に依頼するケースが多く、企業側としても弁護士への依頼が必須となるでしょう。
労働問題に詳しい弁護士が代理人につけば、判決に至る前に有利な条件で和解に持ち込みスピーディに解決できる可能性も高まります。
当事務所では労働トラブルを多数解決してきた実績がありますので、労働トラブルでお悩みの方、労働トラブルを効果的に予防したい方がおられましたらぜひ、ご相談ください。
この記事を書いた人
山本 哲也
早稲田大学法学部卒業後、一般企業に就職するも法曹界を目指すため脱サラして弁護士に。
「地元の総合病院としての法律事務所」を目指し、個人向けのリーガルサービスだけでなく県内の企業の利益最大化に向けたリーガルサポートの提供を行っている。